「車じゃないから」と安心できない自転車事故の高額賠償
平成25年には1億円近い賠償金判決も
- 約6,800万円 (平成15年判決)
- 男性が下り坂を猛スピードで走行し交差点に入り、横断歩道を歩行中の女性と衝突。女性は3日後に死亡した。(東京地方裁判所、平成15年9月30日判決)
- 約5,400万円 (平成19年判決)
- 男性が、赤信号を無視して高速で交差点に入り、横断歩道を歩行中の女性と衝突。女性は11日後に死亡した。(東京地方裁判所、平成19年4月11日判決)
- 約5,000万円 (平成17年判決)
- 女性が夜間、携帯電話を操作しつつ無灯火で走行中、歩行中の女性と衝突。歩行中の女性には重大な後遺障害が残った。(横浜地方裁判所、平成17年11月25日判決)
近年、自転車による加害事故は増加傾向にあり、警察庁の調べによると、平成23年の自転車対歩行者の交通事故件数は10年前の約1.5倍に増加しています。(警察庁「自転車の交通事故の実態と自転車の交通ルールの徹底方策の現状」より)
自転車による加害事故の賠償額は上記のように数千万円となるケースがあり、平成25年7月には約9,500万円という1億円に近い高額な賠償金の判決(神戸地方裁判所、平成25年7月4日判決)が出されています。
自転車事故の賠償は、個人賠償責任保険で補償
自転車は「車のなかま」です。自動車を運転するのと同じように、ルールを守り安全を心がけた運転をしなければなりません(警察庁「自転車は「車のなかま」~自転車はルールを守って安全運転~」)。
万が一、事故を起こし被害者の方に損害の賠償をすることになった場合、個人賠償責任保険でその全部または一部をまかなうことができます。
自動車の場合は自賠責保険(強制保険)制度があり、国の制度として被害者に対して一定の賠償額が保証されており、またその不足部分は任意保険の自動車保険が補完していますが、自転車には強制保険の制度はありません。
特に自転車の場合、子供が事故を起こしてしまう可能性もあり、その場合は保護者として責任を問われることになりますので、どれだけ自分が気をつけていても加害者になってしまうことがあるのです。
自転車に乗る場合には、万が一に備えて個人賠償責任保険に加入することをおすすめします。
また、その支払限度額については、自転車による加害事故の判決等を十分に考慮した上で、適切な支払限度額が設定されている保険に加入するようにしましょう。