家を買うとき「耐震性能」って
必要なの?

~マイホームの建築・購入前に考えておきたい「地震に強い家」のこと~

マイホームを購入することを検討中の方なら一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

住宅に「耐震性能」って必要なの?
どのくらいの「耐震性能」があればいいの?

現在の新築住宅は建築基準法にしたがって一定の耐震基準を満たしていますのでご安心ください。建築基準法の耐震基準を満たさない住宅は違法建築物になってしまいます。
では、「どのくらいの『耐震性能』があればいいの?」という点についてですが、 実は、地震に強い住宅は種類もコストもさまざまです。
住みたいマイホームのイメージと予算のバランスを考えながら、ご自分に合ったものを選ぶことが大切です。

地震対策という観点で言うと、ある程度のご予算をかけてでも耐震性能がしっかりした住宅に住むことは重要だと思います。
というのも、地震保険は地震発生時における当面の生活再建資金の確保を目的に国の保険制度として定められていて、最高でも、セットでご契約いただく火災保険の半分の保険金額しか設定できません*。そのため、地震で住宅が全壊しても、同じ住宅を再築するだけの保険金をお支払いすることができないのです。
*建物・家財別に金額の上限等があります。詳しくは地震保険をのページをご覧ください。

ですので、やっぱりマイホームは丈夫が一番!しっかりとした耐震性能を備えた住宅を建築・購入するべきだと思います。

さて、ここから先は、みなさんのマイホーム購入の参考にしていただけるよう「耐震性能」の種類やコスト、地震保険との関係などをわかりやすくご説明させていただきます。

耐震性能の種類~地震に強い家の構造~

住宅を建築するときの地震への対策には、「耐震」「免震」「制震」の3種類があります。
「耐震」性能は建築基準法で定められている最低限の基準があるほか、コストや工期の面からも取り入れやすく、現在もっとも一般に普及しています。「免震」「制震」は地震の揺れを軽減させる仕組みで、高層マンションを中心に取り入れられつつありますし、戸建住宅でも「制震」性能を取り入れたものが販売されています。

<「免震」「制震」「耐震」の特徴>

免震

制震

耐震

仕組み

建物と地面の間に免震装置を設置し、地震の揺れを建物本体へ直接伝えない。

建物内部に設置された制震装置で地震のエネルギーを吸収することで建物の揺れを抑制する。

柱や壁を強化して地震の揺れに耐える。

効果

地震の揺れを大幅に軽減。家具の転倒や建物自体の損傷を抑えられる。

地震の揺れを軽減。繰り返しの揺れに強く、建物自体の損傷を抑えられる。家具の転倒は一定発生する可能性がある。

地震の揺れが建物に直接伝わるため、揺れは激しくなり、建物自体に損傷が発生する。家具の転倒が発生する可能性がある。繰り返しの揺れが発生すると建物が倒壊する可能性がある。

追加コスト
(目安)

<高>

戸建住宅で300~600万円。分譲マンションの場合はその分のコストが販売価格に反映される。

<低>

戸建住宅で30~100万円。

<低>

耐震等級1:なし(建築基準法と同等レベルなので追加費用なし)
耐震等級2~3:40~100万円(耐震等級取得のための申請費用含む)

備考

  • 定期的なメンテナンスや免震装置の修理・交換などランニングコストがかかる
  • 主に高層マンションで採用
  • 上階へ行くほど揺れを抑制する効果が高くなることから、主に高層マンションで採用
  • 近年では低層マンションや戸建住宅でも採用されつつある
  • 耐震等級2~3の性能を備えた住宅は、戸建・マンションを問わず販売されている

「建物の揺れを軽減する」ことを重視する方は、免震・制震性能のある住宅を選択すべきでしょう。「建物の揺れを軽減する」ということは、建物自体のダメージも軽減することになりますので、建物の修理費用または取壊し・再築費用が発生する可能性も低くなり、地震後の生活再建の負担が軽減されます。
予算面で戸建住宅に取り入れるのが難しい場合は、分譲マンションの購入を検討するのも良いかもしれません。

耐震性能については、耐震等級1は建築基準法と同等レベルなので標準仕様であるとして、耐震等級2および3は、予算面ではもっとも取り入れやすい耐震性能と言えるでしょう。最近は、耐震性能と制震性能を組み合わせた戸建住宅も販売されています。

いずれの性能も立地や間取りに制約があるので、既に建築場所が決まっていたり、「大きな窓を設置したい」「吹き抜けがほしい」など、マイホームに具体的なイメージを持っている場合は、施工会社さんなどに相談してみましょう。

住宅性能表示制度による耐震等級
~耐震等級の選択。熊本地震の分析から~

このようにマイホームに対する地震対策はさまざまですが、この中でもっとも一般的なのが耐震性能です。耐震性能は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」にもとづく住宅性能表示制度によって「耐震等級」が定められています。

耐震等級

<住宅性能表示制度による耐震等級>

耐震等級1

耐震等級2

耐震等級3

基準

数百年に一度の大地震*1でも倒壊・崩壊しない。
数十年に一度の中地震*2でも損傷しない。
(現行の建築基準法と同等の基準)

「耐震等級1」の1.25倍の耐震性能

「耐震等級1」の1.5倍の耐震性能

建築物の例

現行の建築基準法に従って建築された一般の住宅

病院、学校など避難所となる建物

消防署、警察署など防災拠点となる建物

*1 東京を想定した場合、震度6~7程度(熊本地震、関東大震災、阪神淡路大震災レベル)
*2 東京を想定した場合、震度5強程度

耐震等級1の基準として「数百年に一度の大地震でも倒壊・崩壊しない。」とありますが、これは1回の大地震で「倒壊はしない」というレベルの性能です。したがって、大地震発生直後に避難をすれば人命が損なわれることはありませんが、住宅が傾いたり、部分的に大破したりという可能性はあり、必ずしも地震後もその住宅に住み続けられるとは限りません。また、熊本地震のように震度7の地震が続けて発生した場合には、耐えきれずに倒壊してしまう可能性もあります。
こうなると、住宅を修理または再築する一方で、住宅ローンは支払い続けなければならないといったように地震後の生活再建の負担が非常に大きくなります。

耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の、耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の耐震性能を備えていますが、耐震等級2と3の耐震性能がどの程度のものなのか、マイホームの購入にあたってどの耐震等級を選べば良いのかについては、2016年4月に発生した熊本地震についての国土交通省の分析がヒントになります。

2016年4月に発生した熊本地震では、益城町において震度7の地震が2回発生し、甚大な被害がありました。国土交通省の「木造建築物の倒壊の原因分析(旧耐震基準)*」によると、益城町中心部で建築物の被害が著しい地域であっても、耐震等級3の建築物には大きな損傷がみられず、大部分が無被害であったということです。

出典:「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント」(国土交通省 住宅局)

つまり、耐震等級3の住宅であれば、震度7の地震が立て続けに2回発生しても大きな損傷を受けず、その後もその住宅に住み続けられる可能性が高いため、地震発生後の生活再建もしやすくなるといえるでしょう。

住宅性能表示制度と地震保険

耐震性能が高い住宅を選ぶことは、安心感や地震後の負担の軽減に有効ですが、実はそれだけではありません。耐震等級2または3の住宅の場合、地震保険の割引制度があるのです。

<地震保険料の割引率>

耐震等級2

30%

耐震等級3

50%

※地震保険の割引は他にもあります。詳しくは地震保険をご覧ください。
※ご契約条件によっては保険料が割引とならなかったり、割引率が異なる場合があります。

また、このほかに、固定資産税の減免、フラット35Sにおける金利の優遇、住宅ローン控除額の拡大、贈与税の非課税枠の増枠など、さまざまな優遇措置を受けることができます。これらを活用すれば、耐震性能の追加コストは数年で取り戻すことができます。
もしも、耐震等級2と3で迷っているのでしたら、追加コストは2と3で極端に変わることはありませんので、耐震等級3を選ぶことをおすすめします。

ここで注意しなくてはいけないのは、ハウスメーカーなどが「耐震等級3」または「耐震等級3相当」とうたっているだけでは、これらの優遇措置は適用されないということです。

耐震等級は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」にもとづく住宅性能表示制度によって定められています。住宅性能表示制度とは、建物の性能を、建築の専門家でなくても分かりやすく表示するための制度で、住宅の性能に関する共通ルール(基準)を定めることで、住宅取得者がさまざまなハウスメーカー等の住宅を容易に比較・検討することができる仕組みです。
この住宅性能表示制度に則って第三者機関が住宅の性能評価を行うのですが、施工の実費のほかに審査のために30~50万円程度の費用がかかるため、実質的には耐震等級3と同等の耐震性能を持ちながらも住宅性能表示制度による認定を受けずに、価格を下げて販売するケースもあります。

この場合は、地震保険の割引制度をはじめとする各種の優遇措置を受けることができません。また、第三者に客観的に評価・認定してもらうことで、住宅購入にまつわるトラブルを予防することもできますので、住宅購入時には、事前に住宅性能表示制度による耐震等級の認定を取得しているかどうかをよく確認しましょう。

住宅性能表示制度についての詳細は、国土交通省のホームページをご覧ください。
住宅性能表示制度(国土交通省)

まとめ

:家を買うとき「耐震性能」って必要なの?


A:大地震後も住み続けられる耐震性能があったほうが良い。

  • 耐震等級3の建物は、熊本地震(震度7×2回)でも大きな損傷がなかった。
  • 耐震等級2または3の住宅には、地震保険の割引制度*があるほか、住宅ローン控除額の拡大など各種優遇措置があるので、住宅性能表示制度による耐震等級の認定は取得しておいた方が良い。

*ご契約条件によっては保険料が割引とならなかったり、割引率が異なる場合があります。


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①建物の所在地
②建物の構造

※1 コンクリート造・鉄骨造・省令準耐火建築物など
※2 省令準耐火でない木造建物など

③床面積